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一般向け

医者のキャリア形成

他の大学も同じだと思うが、臨床研修が終了した後に入局して専門とする科を決める。その後初期出張で市中病院で働き、5-7年程度で大学病院に戻り研究や特殊な専門領域の経験を積む。この時までの仕事ぶりである程度それぞれの能力はわかるものだが、それ以降はそれぞれの病院でポストがあるかどうかで決まる。能力の高い人間がいて、適材適所の職場に配置しようとしても、既にそのポジションに人がいると折角能力があってもうまくその力を発揮できない。

アメリカでもそうだったが、病院のスタッフで何十年も在籍している人は多い。アメリカの場合は年に1回、部下も上司を評価する機会がありメールで評価を送り返すシステムになっている。また売り上げにもシビアであり、教育セミナーなどの仕事も週末にこなさなくてはならない。そのポジションに居続けるのも難しいが、それでも、もともといる医者も能力が高い人なので、なかなかいいポストは開かないのではないかと思う。自分のラボではNo.2のPhDの先生(その領域では超有名)が他の大学の教授になり、次の研究者を募集していた。よそから候補者がやってきて、そのラボのみんなの前でプレゼンをしていたが結局ダメだった。今もそのポストはあいたままだと思う。アメリカの自分がいた病院は、基本的に同窓しかスタッフにしない。Clinical fellow, research fellowとして仕事をしていて、その人の人となりがわかる人間で、かつ優秀な人しか雇わない。腐ったみかんは入れたくないのだ。どのスタッフもすごく長い期間同じ職場で仕事をしているので、人間関係もおそらく複雑だと思う。決して人の悪口は言わない。アメリカに行っても結局人間なのでこの辺の事情は日本と変わらないなと思った。日本でも出世するには、タイミングよくポストが開くか、長時間の椅子取りゲームに耐える必要がある。

若い医者に伝えたいことは、いわゆる大学病院で活躍できるような医者になるには臨床経験だけでなく、論文や海外留学などの経験を積む必要がある。また、仮にこれらのことがクリアできても必ずしも思うようなキャリアが形成できるとは限らないと言うことだ(今更感があるかもしれないが)。ブルーハーツの甲本ヒロトがテレビで言っていた”やりたいことは一つにしておけ”と。”バンドをやって有名になりたいとか、金持ちになりたいのではなく、金持ちになりたいのだったら商売すればいいし、有名になりたいんであったら何かで捕まればいい、自分はバンドをやることが夢だったから夢が叶いっぱなしだ、今が一番楽しい”。要するにその時その時で自分が楽しめることをやれば良いと思う。甲本ヒロトみたいにすんなり自分がやりたいことが見つかればいいが、将来なんとなく教授になってみたい、手術がうまい〇〇先生みたいになりたいなどのイメージを持って、逆算してその時できることをやってほしいと思う。やってみたらこんなもんかと思ったり、よくよく考えたら、自分の本当にやりたいことが違っていることはよくあるので、そのときはその時で軌道修正すれば良いと思う。大体自分でイメージしてこうなったらこうなると予想通りにいくとは限らない。頭でっかちで理屈ばかりこねていても、実際やってみるとその通りにいくことの方が実際は少なかったりする。事実は小説より奇なりというがまさしくそのようなことはよく起こる。強い奴が勝つのではなく、勝ったやつが強いのだ。結果を出してなんぼである。

自分はなんとなく海外で生活してみたいという夢があった。医者になったので海外留学が一番現実的だった。国境なき医師団なんかも少し考えたが、死ぬかもしれないし給料なんかも心配だったのであまり真剣に考えなかった。なんか書きながら自分でも何が言いたいのか分からなくなってきたが、要するに自分のイメージ通りの夢を叶えようとすると膨大な量の準備が必要になるが、それが無駄になってしまうこともあると言うことだ(月並みですが)。ただ、その膨大な量の準備をしないとチャンスは転がってこない。ただ、本気で何かに取り組んだことはそれ自体が財産になるので諦めずに取り組んでほしいと思う。一生懸命していればわかる人にはわかるので。頑張れ。


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Girimaro
40代脳外科専門医、救急科専門医、アメリカ留学経験あり 日々考えていることを記録します https://blog.with2.net/link/?id=2073035

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