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一般向け

柔道で水虫になった話(トンズランスまじやばい)

タイトルの通りですが、自分がアメリカ時代にした辛い経験を話します。

 私は柔道の経験があり、アメリカで現地の人と友達になりたいと思い、インターネットで検索すると近くのジムで柔道を習うことができるとの情報をゲットした。アメリカについて初めの頃だったので、あまり英語も話せないのでドキドキしながら行った。簡単な申し込み用紙を記入して、更衣室で柔道着に着替えて道場に行った。道場は平屋建てのそうこのような感じで、筋トレの機械と2面の道場があった。コーチのお父さんはアメリカ軍で働いていたそうで、当時は軍関係の人は柔道を習う機会が多く始めたとのことだった。黒帯を持っていて、60代前半とは思えない、筋骨隆々の若々しい白人だった。生徒は地元の大学生の柔道サークルの人たちで、中国人や白人など様々だった。自分は二段で、中高と部活で柔道をしていたので、そこそこ経験があったので、自分なりにちょこちょこアドバイスをしながら仲良くなっていった。日本だと学生が柔道や空手などに通っていて、大人はほとんど経験者が体力維持あるいは後輩の指導で道場に通うことが多いが、アメリカでは初心者でも習いに行っている人がおり、エンジニア、大学の研究者やビジネスマンなどいろいろな業種の人が集まっていてなかなか面白い環境だった。

 ある程度、ジムに通いだしてから更衣室で”リングワーム”がどうとか会話をしていてよく見ると同僚のお兄さんの背中に丸いリング状の赤い湿疹のようなものができているのに気がついた。そういえば、最近なんだかスネのあたりが痒いなと自分も思っていた。放っておくと、だんだんスネやふくらはぎにはたけのような乾燥肌のようなカサカサした部分ができて、最終的には水疱ができた。最初は何か分からず放っておいたが、水疱になった時に、赤くなって熱も持ち出したため流石に何かしないといけないと思い日本から持ってきた、アミノグリコシドの軟膏を塗った。少し良くなったが猛烈に痒かった。その時に同僚の背中を思いだし、水虫だ!とわかった。寝技の時に、相手の足が自分の足に絡むことがあるが、その時うつったようだ。

 アメリカではCVAファーマシーというのがあって、そこで水虫の軟膏を買って塗った。塗った場所はしばらくしてよくなったが、いたちごっこのように周りに広がっていった。週末に良くなり、週明けに仕事に行くとまた同じ場所が痒くなったが原因がわからなかった。その頃、選択は週末にまとめてやることが多く、ズボンはローテーションして履いていたため、同じズボンを繰り返し履くことも多かった。ある日偶然、ズボンを裏表逆にして洗濯しようとした時に、水疱が破れてでた汁がズボンの裏側について跡になっているところに気づた。”ズボンについた自分のふけとか水疱の液”で自己感染を繰り返していたことに気づいた。それからは毎回ズボンを洗うように気をつけた。最終的にはお尻や太ももの方まで痒くなり、特に怪我をして俗にいう”きっぽ”の部分は特に感染しやすいらしく、なかなか痒みが止まらなかった。しかし根気よく、ラミシールクリームを塗っているとよくなってきたが、なかなか水膨れはよくならなかった。最終的にはイトラコナゾールのパウダー(ベビーパウダーのような)を塗ると、傷が乾燥して治ってきた。

 インターネットで水虫のことを調べると、トンズランスというタイプの水虫が海外では流行しており、柔道やレスリングの国際試合で日本でも2000年代くらいから流行り出したそうだ。自分が学生の頃にはなかったタイプだ。中学生のころに、部活で柔道着を忘れて、学校の道着を借りたことがあったが、その頃インキンになった。当時は恥ずかしくて誰にも言えなかったが、オロナインを塗ったり色々しているうちに痒みがおさまってきてきて自然に治った。トンズランスに比べたら、今思えば全然痒くなかったのだが。

 話は戻って、アメリカ滞在時の水虫はイトラコナゾールパウダーと冬の感想で春先にはだいぶよくなっていた。ある時、柔道の試合があるから見に行かないか?と誘われて、試合会場にいった。アメリカでは柔道場がないため、大きな体育館やコンベンションセンターなどにマットレスを引いて試合会場にしていた。この試合はボディービルダーにとってはとても有名な大会でアーノルドクラシックというのがあるが、それと一緒に行われていた。ボディービルがメインだが、各種マーシャルアーツの試合も行われていてお祭りのような催し物だ。かの有名なアーノルドシュワルツェネッガーも会場に来るらしいがお目にかかれなかった。試合は北米を中心に遠くはカナダからも選手というか柔道愛好者が集まっていた。この時は試合には出なかったが、この日を境に足が再び痒くなった。よくよく考えるとアメリカは結構汚いところで、大人用のトイレでもうんこが思いきり外れてしてあったり、みんな地べたに座ったりと衛生観念が日本と比較にならない。柔道のマットレスが掃除されておらず毎年使い回しにされていることは容易に想像できた。おそらくマットレスに水虫菌がいて、そこからまた菌をもらったようだ。

 時期は夏に向かっており、だんだん暑くなってきたのもあって、足からお尻にかけて今度はぶつぶつができていることに気がついた。トンズランスは毛根につきやすい性質があり、毛穴に入り込んでしまうらしい。こうなると通常は内服薬も併用しないと治らないようだが、アメリカであまり病院にもかかるのに抵抗があり、ひたすら今度はラミシールスプレーを足とお尻にふりかけて治療した。冬場によくなって、暖かくなると再発するのも水虫の特徴だ。

 結局アメリカにいる間、夏になっては再発するということを繰り返した。いわゆる皮膚が痒くてカサカサになる体部白癬は治ったが、最終的には毛根に感染した水虫菌は駆除しきれず、夏場に毛嚢炎になり、毛穴に一致してぶつぶつができて、治りかけるとかさぶたになり毛と一緒に抜ける症状が続いた。日本に帰国してから、皮膚科に行き、痒かったところの皮膚を削って顕微鏡で見てもらったが、水虫菌は検出されず、水虫ではありませんと言われた。自分の大学時代の同級生も含めて3箇所通ったがどこでも検査は陰性だった。自己治療していて菌が検出されなかったのだと思う。自分では水虫という確信があったので、最終的に知り合いの病院でイトリゾールの内服と、ラミシールの軟膏を処方してもらい自分で治療した。薬は効いていたので間違いないと思う。いわゆる診断的治療というやつだ。色々調べるとブラシで頭皮を擦って培養検査に提出して診断するらしい(専門外なのでよくわからない)。最終的には3年くらい治るまで時間がかかった。感染力が強く、体全体に広がっていく。とても恐ろしい。みなさんアメリカや南米(メキシコあたりでトンズランスが多いとのこと)にいったときは足はよく洗うようにしましょう。

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Girimaro
40代脳外科専門医、救急科専門医、アメリカ留学経験あり 日々考えていることを記録します https://blog.with2.net/link/?id=2073035

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