患者を主に担当する医師を主治医というが、病院や診療科によってはグループで一人の患者を担当することもある。それぞれの利点、欠点について述べてみる。
言わずもがな患者に対して責任を持って診療にあたる事は極めて大事な事である。患者一人を医師一人で担当することを自分たちの界隈では主治医制、複数の医師で一人の患者を担当することをチーム制と言っている。主治医制の場合、患者の治療方針決定や指示を主治医一人で全て行う。また、患者が急変した場合も主治医が呼ばれて対応する。患者を常に見ているので当然患者の状態はよく把握できる。また、常に接しているため患者やその家族などとの信頼関係も醸成されやすい。治療方針は基本、主治医で決定するため対応も迅速にできる(経験が浅い医師は当然上級医に相談する体制になっており、しなければならない)一方で、主治医は常に拘束されており、遠出するのもままならない。また、しばしば治療が独善的になることもあり、経験のある医師だと尚更他の医師の意見を受け入れにくくなったり、口出しをしにくくなる。一方でチーム制の場合は、グループ長とスタッフ、レジデントなどで治療にあたる。複数で患者を受け持っており、主にレジデントが基本的な点滴のオーダーや指示を出すが、スタッフがそれらをチェックしている。グループ長は患者や家族への重要な説明や主に手術の執刀などを中心に行う。イメージとしては外科系で多く取られる診療体制かと思われる。グループ長がしっかりしていれば、屋根瓦方式と言って非常に教育的で若手も上級医から学ぶことができる。グループで患者を診療しているため、一人が学会などで抜けていてもその間のカバーを他の医師ができるので安心だ。ただ、レジデントと中間管理職の能力が同程度の場合は責任の所在が不明確になり、仕事の押し付け合いが起こることもある。患者の治療方針も上級医の許可がないと踏み込んだ変更ができないので、時に判断が遅れることもある。また、治療に関するチェック機構が働くが、仕事量がどうしてもレジデントなどの若手に偏ってしまう。
主治医制とチーム制でそれぞれ一長一短であるが、大学病院など医師が多く教育もしないといけないような大病院ではチーム制が取られることが多く、医師がやや少ないが経験豊富な中小の病院では主治医制が多い印象だ。個人的には主治医制の方がやりやすい。チーム制で患者を診ていると、若手に任せきれずに自分でやってしまいたくなるし、同じくらいの能力の医者と同じ患者を担当すると遠慮したり、やっておいてくれるのではないかと期待して結局自分でやらないといけないことになったりする。責任の所在が曖昧になるので、対応が無責任になるものも出てくるので基本仕事はシェアしない方が良いように思う。ただ主治医制だと前述のように全く休めなくなるし、休んでいても落ち着かないので消耗してしまう。一番いいのは信頼できるチームで役割分担をはっきりするのがいいがなかなかうまくいかないのが世の常である。