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医者も安泰ではなくなるかもー病院統廃合と医師の働き方改革との絡みー

先日医師の時間外労働についての記事を書いたが、それは病院の統廃合、それに続く医療コスト削減を目指した国策なのではないかと気づかせてくれる動画を見つけた。めちゃくちゃリアルである。まずは、上のテレビ東京の動画をみてもらいたい。日本は病院の数が多いが、一つ一つの病院にいる医師数は少ない。たくさん病院が存在すると医療費も膨らんでしまう。日本の医療費は増加傾向にあり、高齢者も多いので今後の医療費削減は喫緊の課題と思われる。

例えばA病院の脳外科に5人いたとする。この5人でシフトを組もうとすると、新しい時間外労働の基準だと時間外に緊急手術をすると必ず次の日休まなくてはならなくなりシフトがとてもじゃないが組めなくなる。例えば、一つの都市に上記のような脳外科医が5人規模の病院が6箇所あったとすると脳外科医の数は30名である。この病院を統廃合して二つにすると15人の脳外科医がいる病院が2箇所になり、これであれば緊急手術があってもシフトが組めそうだ。また、一つの病院に症例が集中することで、手術件数が多くなり、外科医の技術も向上すると思われる。

普段仕事をしていて思うが、ある決まった時間どれだけ忙しくても休みが確実に取れればなんとか回っていく。日本では少人数で維持している病院がたくさんあり、ほぼほぼ365日を2-3人体制で急患を含め患者を見ないといけないところも存在する。このような病院は新しい時間外労働の基準をクリアできない。病院や学会主催の医師の働き方改革に関する講演を聞いたが、国は本気であり、2024年からは本格的にこの基準をクリアできないとなんらかのペナルティが病院に課されると思われる。

テレ東の動画にもあったが、この制度が本格的に始まると、何が起こるかというと病院の管理職のポストが減ると考えられ、医療サイドの反対が強かったと思う。現場の声としては病院は統廃合して、完全シフト制にした方が遥かに楽そうだ。ただし、今まで小さい病院でお山の大将ができていた医者がそうできなくなる。病院での医者のポスト競争は激しくなると思われる。また診療報酬の関係で、病院での外来診療はもうけが少なくなっているので、最近はどんどん開業医へ紹介するように病院から通達があった。病院とクリニックの二極化が進んでいくと思われる。テレ東の動画では、医師の働き方改革(時間外労働に関する制限)は触れられていなかったが、これは病院統廃合への布石だと思う。新しい基準をクリアできない病院を潰していって、効率化を図り、結果医療費を削減することにつなげたい国の思惑があるのではないかと思う。

最近コロナで無駄に病院にくる患者が減っており、病院の売り上げが減って急患の取り合いが起こっている地域もある。これからは医者になっただけでは安泰というようにはいかないのではないかと思う。若い医者は、専門医などの資格をとって、自分の価値を高める努力は怠らないようにしてほしいと思う。

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Girimaro
40代脳外科専門医、救急科専門医、アメリカ留学経験あり 日々考えていることを記録します https://blog.with2.net/link/?id=2073035

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