教えて!gooの質問をみていると、”朝6時に出かけてよる11時に毎日帰ってくるという生活がずっと続くのか？”などの脳外科医の生活ぶりに対する質問に、”その通りです”と答えている質問も多い。実際そういう場合もあるが、少し極端に感じたので地方の脳外科医が５-6人いる規模の主幹総合病院目線で語りたいと思う。
自分の彼氏、旦那の病院が忙しいかどうかは手術件数を見てみると良い。大体３００件を超えていると脳外科としてはたくさんしている方だと思う。自分の場合は、週2回定期手術があった。週2例なので月に8例、年で96例である。と言うことはの頃のおおよそ200例は緊急ということになる。大体は日中の時間内での緊急手術という場合もあり、おおよそ100例くらいがそれにあたり、残りの100例くらいが所謂、時間外（夜、土日祝日）になると思われる。自分が一番忙しい病院にいた頃は大体週に最低1回は夜・土日祝日に手術をしていたイメージだ。それとは別に待機があり、大体3日に1回くらい回ってきて意識障害なんかの患者の診察依頼や病棟患者の急変で呼び出されることもある（大体一晩に１-2回くらいか、多い時もある）。当直は大体月に2回だった（大学病院は若手の場合バイトも含めて月に8回くらい）。
緊急手術に呼ばれると、ものにもよるが5時間は家に帰ってこない。その日はパーになる。週末に出かけるにしても車で1時間圏内、それより遠くに行きたい場合はあらかじめ同僚や先輩に頼んでおく必要があると思われる。また、部長の方針もあるが、カンファレンスをかっちりしているところだとその準備があるだろうし、大きな学会前は発表のためのデータ拾いやスライド作成に時間がかかる。しかし、一般の市中病院で毎日朝6時から午後11時は極端のように思う。それはおそらく首都圏で手術件数が膨大にある大学病院かなんかではないかと思う。臨床診療以外の仕事もされているのではないかと思う。地方の大きめの総合病院だと、大体午後6時には日常の業務は終わっているはずだ。自分のいたところでは、上司が院内にいても部下は帰っていたし、脳外科は急患対応が業務の大体半分くらいを占める（若い人はほとんど）ので、他科と比べて日中は割と時間があるように思う。外科や整形外科のように定期の手術件数が多くて、患者の回転が早い科は確かに6時ー23時になることもあるかもしれない。
前の記事でも書いたが2024年からは時間外労働の制限が厳しくなり、当直の翌日はおそらく午後から帰宅できるようになると思われる。若手だけに極端に待機や当直が多くなる状況も少し改善されるのではないかと思う。
脳外科医の彼女・奥さんに言いたいのは”信じて待ってほしい”ということだ。緊急手術で帰るのが遅くなるなどの連絡はするがあまり、自分は仕事であったことを家で話をすることはしない。若い脳外科医は不規則に夜に呼び出されたり当直が多いので、一度信じれなくなると疑心暗鬼が止まらなくなると思う。お互いなんでも知っていることが必ずしも良いとは限らない。あんまり束縛が強いと男性側の心理としては逃げたくなる。ただ、男は鈍感なので相手が我慢していることに気づくのがかなり遅くなることもあるので、早めにシグナルを発信した方がお互いいいかもしれない。女性に対する行動で、同じ行動でもこの時はよくて、この時はだめだみたいなことがあって、自分も”意味がわからん”とかなっていた。女心は難しい。男は理屈や損得の方が考えやすいので、理屈や損得勘定に合わない行動を理解できないことがある。
結婚して子供ができると、大体医者の奥さんは孤立してしまうことが多い気がする。旦那は家にあまりいないし、週末の時間が読めない（呼び出しがある）ので不自由だ。出産後は産後うつのような状態になったり、子供が小さいうちは特に大変で喧嘩することが多い。財布を一緒にして、一緒に住むというのは想像以上に大変だ。家庭内のルールが形成されるまで喧嘩することも多い。結婚して最初が一番しんどいように思う。ただ、子供が小学校に上がるくらいになると時間に余裕ができるし、医者の場合はまず食いっぱぐれがないのでそこまで行くと割と安定した家庭生活になるのではないかと思う。その頃になると、むしろあまり旦那が家にいない方が楽かもしれない。ある程度先の見通しがあれば、その時大変でも”ここを乗り切ればなんとかなる”と思えるのではないだろうか。笑顔の溢れる家庭とか、子供が可愛くて育児が楽しいとか綺麗事ばかりではないと思う。毒を吐くことも大切だが、女性同士で毒のはきあいをして間違った方向に盛り上がっていくこともあるので、相談する相手は選んだ方が良いかもしれない。全てを失うこともある。
隣の芝は青く見えるので、自分が変われることがないか考える方が長い目で見て幸せかもしれない。相手を変えることは難しい。自分の気持ちの持ち方や行動を変えていく方が早かったりする。本人も気づかずに、そもそも好きでもない相手と結婚している場合もあるが、大体は最低限の我慢は必要だと思う。
