連日報道がなされているウクライナ情勢であるが、最近は膠着状態が続きあまり進展がない。ロシアは経済制裁されており、軍隊の士気も低そうだ。ウクライナは西側諸国からの援助で巻き返しを図っている。大前提として、軍事侵攻し多数の民間人を攻撃しているロシアが悪いのであるが、ニュースやインターネットでの情報だとやはり偏りがあるように思う。プーチンが好きな友達のアイルランド人はどちらかというとアメリカが悪いのではないかという論調だ(ヨーロッパの人はアメリカが嫌いな人が多い印象だ。またアメリカ人はアメリカが大好きである)。結局アメリカを中心とした西側諸国と、ロシア、中国を中心とする旧社会主義国家の対立だ。素人ながら、見聞きした情報の範囲で自分の意見をまとめてみる。
最初にウクライナ情勢について自分が疑問に思い始めたのは、友達のアイルランド人がやたらとプーチンを擁護するような発言をしていることを発端にしている。どう考えても、軍事力を用いて他国の領土を侵略し、ミサイルや航空機で民間人を攻撃することは許されることではないが、ロシアにも言い分があることは事実であろう。友人のアイルランド人は、戦争映画が好きで、戦争ものの歴史に対する造詣が深い。彼は盛んに、オリバーストーン監督のプーチンへのインタビューをまとめたドキュメンタリーhttps://www.youtube.com/watch?v=RBh-ivZ5C-wを見るように勧めてきた。彼はいかに、プーチンが有能でチャーミングかということを力説していた。鈴木宗男に関する記事でもプーチンの人情家な一面が紹介されているhttps://gendai.ismedia.jp/articles/-/93643。確かにプーチンは、ソ連崩壊直後のロシアを立て直し、経済的な発展を遂げた有能な政治家だと思う。国有企業のトップがどさくさに紛れて”不当”に多額の資産を手にして、ロシアンマフィアを牛耳っていた。それを一掃したのもプーチンだと思う。また、エリツィンの後継者として指名され、まだ誰かわからない状態からチェチェン紛争を制圧したこともロシア国民の支持を受けた要因になっている。
今回のロシアの言い分は、NATOへの東方への拡大によるロシアへの脅威とウクライナ東部のドネツク、ルガンスク州の一部で、親ロシア地域でネオナチ勢力による大量虐殺が行われていることに対する人道支援とのことだった。2014年に親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領が、数カ月続く国内の反対運動の末、失脚し、クリミアがロシアに併合された。この際に反対運動に参加した勢力にネオナチがいるというのがプーチンの言い分で、ファシストがウクライナの実権を握り、東部の独立派を攻撃しているというのがロシアの主張だと自分は理解している。
ウクライナにはゼレンスキー大統領を中心とするEU、NATOへの加盟を希望する勢力があり、親ロシア勢力と対立を繰り返してきた。ウクライナ政府は、あっけなくクリミアが併合されたことから2014年以降、アメリカのサポートを受け、ロシアに対抗すべく準備を進めていた。今回のロシアの軍事侵攻の前にもプーチンはゼレンスキーに警告を行っていたが、ゼレンスキーがそれを軽んじたため今回の軍事侵攻が始まってしまった側面はあろうかと思う。
ゼレンスキーはいろんな国で演説をしたり、キエフに留まり闘いを続けていることで、多くの人の支持を得ているが、政治家としては自分は軽率だったのではないかという印象を持っている。サッカーの本田選手も言っていたがロシア人はある一定のところからは妥協しないため引くこと(NATOに加盟しない)も被害を少なくするためには必要だとtwitterで言っていたhttps://news.yahoo.co.jp/articles/9c911fb6585cebd6a8e2bee15f37fd3bb2075797が、自分も一理あると思う。本田はロシアのサッカーチームでプレーしておりなかなか思うように移籍交渉が進まなかった経験からロシア人の気質を理解していたのだと思う。実際、最近の停戦合意でゼレンスキーはNATOへの加入は諦めており(ある意味NATOがウクライナを見捨てた)、もっと早くにその判断ができていれば今回の戦争も防げていた可能性は考えられる。
ロシアの言い分ではこれ以上のNATOの東側への拡大は国家存続への脅威であり、それに対抗するためにやむを得ないと判断しウクライナを攻撃したということになる。前述のオリバーストーンのインタビューでプーチンが言っていたが、元々ロシアはNATOへの加入を希望したが軍事情報を共有する必要がありアメリカに却下されたそうだ。ロシアはソ連崩壊後に少しずつ民主化をしていったが、劇的には変われないが少しずつ進んでいった。プーチンも一時期には歴代のアメリカ大統領と比較的良好な関係を築けていたが、結局アメリカには敵が必要だったと言っていた(インタビューは英語なので理解が間違っていたらすいません)。プーチンは世界には二大勢力が必要でバランスを取る必要があると主張していた、アメリカ一極では数十年後に全ての国がアメリカにとって都合のいいように扱われてしまうという感じのことを言っていたと思う。確かに、JALとANAがあるために競争が働き、サービスや料金の適正化がなされる側面はあると思う。ただ、個人的にはロシアかアメリカだったらアメリカの方が良いと思うが。
身近な人間関係に例えると、クラスの中に変わったやつ(ロシア)とそのグループ(中国、北朝鮮)がいてほっとけばあまり害はないがあまり自分勝手な行動を注意するとキレて手を出す。クラスの人気者(アメリカ)とその友達(西側諸国)が、考え方が気に入らないのでロシアグループを謝らせたり、服従させたいが思うようにいかない。日本はどちらのグループにも属していないが、中国と仲が悪いのでアメリカの言うことを聞いている。アメリカと仲良くしたいが、元々ロシアグループのウクライナはアメリカのグループに入りたいが、裏切ったとしてロシアにリンチされた。アメリカは表立ってウクライナは助けられないが、気にはかけている。これを機にロシアがクラス中から嫌われて不登校になればアメリカは万々歳といったところだろうか。アメリカはロシアの資源を狙っているように思う。あるいは自国の石油やシェールガスが売れる。世界は緊張状態になり、各国の軍事費は上昇していくのは間違いない。もちろん高額なジャベリンなどの兵器も売れるだろう。武器商人にとってはウクライナの戦争は見本市のようなものである。
ロシアが間違っていることは明らかだが、状況によっては物事は白黒つけいない方が良いこともある。喧嘩しないように適度に距離をとって細かいことをあまり気にしすぎないことも大切ではないかと思った。