自分は小学校から高校まで公立学校に通っていた。最近はお受験のため小学生あるいは有名小学校に入るために、幼稚園から専用の塾に通っている子どもも珍しくない。これについて自分の思うところを語りたい。
お受験の目的は主に大学受験に向けた準備だと思われる。日本では卒業大学でその後の就職先が決まり、人生を大きく左右する(そうとも限らないかもしれないがここではそうしておく)。大学受験のためには良い高校、良い高校に入るためには良い中学校、または中高一貫校に入るのが良いとされている。場合によっては慶應大学のように小学校からエスカレート式のところを目指すのであれば小学受験も必要になる。良い高校に入ると競争原理が働き、生徒同士が刺激になって勉強するし、先生も経験があるため目的大学に沿った指導もできるだろう。また中高一貫の場合は大体1年早くカリキュラムが終了するため、高校3年は全て受験勉強に費やすことができるため大学受験には極めて有利だと思われる。
多くの保護者は良い大学に入るところまでは視野に入っているが、その後の人生についてはあまり目が向いていないことが多いと感じる。医学部のように資格と仕事が直結している場合はいいが、東京大学のように学歴はすごいが、大学で勉強したことが、仕事に何かが直結するばかりでない場合は、本人の真の意味での能力が問われる。それはコミュニケーション能力を初め、主にアウトプットする能力だと思う。受験勉強は暗記や型を覚えて、試験で再現する能力が問われる。しかし、人生で最も大切なのは問題解決型の能力や情熱、行動力だと思う。仮に東京大学を卒業しても、おそらくコネや引き続き受験テクニックで入社試験なんかはパスするかもしれないが、果たして幸せになれるだろうかはわからない。大学卒はそこに入るための努力ができる人間、何かの知識を勉強して求められる形に持っていく能力がある証明にはなるが、使える人間、幸せになれる人間かどうかの証明にはならない。
大学卒業後は、自分で人生に価値を見出していかないといけない。自分で何かを見つけて、面白がって続けれるものを探さないといけない。自分の人生には先生はいない。誰も自分の人生を生きた人はいないからである。このような視点で受験を考えた場合、有名進学校にいくメリットとは”頭がいい人”と接することで、その人から勉強やそれ以外のいい刺激を受けることは進学校に行くメリットかもしれない。ただ、勉強ができるという物差しで”頭の良さ”は測れない。独特の感性や行動力というのは、詰め込み型教育には合わないからだ。普段なんとなく、”こうしたら面白いのにな、こうやったらどうなるんだろう”と思っても、誰かに怒られるからやらなかったり、子どもには大きすぎるお金が必要だからやらなかったりする。ほとんどの人は行動に移す前に諦めてしまう。実際に思いついた”なんか面白いこと”をやりにくことは今の学生生活では難しい。
サッカーの岡田監督が言っていたが、日本人はルールを忠実に守る。ただそれだけでは勝てない状況があり、無理にドリブルにいく必要があってもいかなかったりする。岡田監督は挑戦して成功すれば褒めるが、失敗すれば怒る。ルールをあえて破ってリスクを冒して挑戦する人があまりいないそうだ。そうであれば失敗すれば怒らなければいいのかというとそうでもない。肝は”リスクをとって挑戦すること”だそうだ(うろ覚えなので間違ってたらすいません)。今の教育システムだと主体性を持って何かに取り組むのは難しい。やりたいことによってはある程度学校のルールや大人のプレッシャーを跳ね除けて何かをしないと自己実現できないこともある。
自分は小学校は公立の方がいいと思っている。いろんな背景を持った人間がいるからだ。社会に出てからはいろんな人を相手にしないといけない。パーティーピーポーのような自分からするとよくわからないところで面白がる人から、反社みたいな人とも接することもある。小さい時にこのような人間と接していると、その根っこのようなところに触れることができるし、共感できるところ、自分とは相入れないなというところを理解できるチャンスが増える。大人になってからこのような人間と接してもお互い深く踏み込まないし、仲良くなることもあまりない。また、有名進学校やお嬢様・お坊ちゃん学校に通っているとプライドばかり高くて中身が伴っていないと社会に出てから惨めである。自分が何者であるかは社会に対して自分の力で証明しないといけない。中学以降は進学校でも良いと思う。面白い人間もいるし、いわゆる社会のレールから逸脱はしにくくなる。大学受験に関しては浪人してもいいのであれば進学実績のある公立でも十分だと思う。バカ高い授業料を払っても、要は受験に必要なのは本人のモチベーションである。極論を言えば、本屋で問題集を買って自分でやっても受験の準備はできる(切磋琢磨する環境が必要だから進学校に行くのである)。要は子どもの興味を伸ばして、挑戦する経験が多い方が後の人生には役立つように思う。興味を持たせるために、旅行やいろいろな体験、出会いが大切ではないだろうか。