大学の医局によって雰囲気は違うと思うが、若い女医さんにとって脳外科はある意味お勧めかもしれない。一般的に外科系は体力がいると言われている。外科や整形外科だと、筋鈎(開創した術野を、より良く見えるようにするための器具)で重い組織を引っ張ったり、足を持ち上げたりしないといけないが、脳外科では力仕事はほぼない。せいぜい開頭の時にドリルを使ったり、側頭筋を剥離するときくらいだ。また、顕微鏡下の操作では座って行うのでそういう点では楽だ。また、長時間細かい作業を根気よく続ける必要があるが、女性の方がこのような作業は向いているかもしれない。
女医さんがよく選択する科といえば、内科、小児科、産婦人科、麻酔科、眼科、皮膚科、放射線科などがある。これらの診療科はすでに女医さんがたくさん働いている。もともと女医さんが多いところでは特別扱いされることはなくなると思う。一方脳外科の場合、自分のところではまだまだ少なく、四人くらいであるので扱いにまだ慣れていない。最近では働き方改革や女性の社会参画の推進などが言われているため、出産や待機など配慮してくれると思われる。女医さんが多い科だと”〇〇先生はやってるよ”とか言われて、難しい労働条件でも受け入れるしかないかもしれないが、女医さんが少ないところは、多分上司は強気できつい労働条件を提示するのは躊躇するだろう。
もちろん、バリバリ働きたい人も当然いるだろうし、実際外科系に進む女性は、優秀で並々ならぬ気迫とやる気を持っていることが多い。子供ができると、呼び出しがあると預ける必要があるし、旦那のフォローも欠かせない。一緒に働いたことがある気合の入った女医さんは、結婚はしたいが、ある意味それまでのキャリアを捨てなければならなくなる、と言っていた。やはり呼び出しなしでは術後管理や急患の手術はできない。それだけトレーニングという意味で不利になる。
両親に子供を預けられる環境だったり、旦那の時間が読める(定刻に帰ってきて呼び出しがない)女医さんは結婚後も仕事を続けられるだろうが、現実はそうはいかないこともあるだろう。最近は外科系に進む人が全体的に少ないため、結婚を機にリハビリや神経内科的な外来メインの仕事に転向しても、結婚するまでは少なくとも有意義に過ごせるし、若い人が多いと受け入れ側としても助かる。外科系に興味がある女性の医学生にはぜひ脳外科をお勧めしたい。